顔面神経麻痺の症状について
顔面神経麻痺(Bell麻痺)は、顔面神経の一部の機能が一時的または一部永続的に失われる状態です。
表情の喪失
顔面神経麻痺では、顔の片側の筋肉が麻痺し、表情のコントロールが失われます。顔の片側が不自然に平坦になり、眼を閉じることや口角を上げることが困難になります。
目の症状
麻痺側の眼の周りにはいくつかの症状が現れることがあります。眼の乾燥や涙の流れの異常、眼の充血、眼瞼下垂(まぶたが下がる)、光過敏などが挙げられます。
口や舌の問題
口の周りの筋肉の麻痺により、片側の口角が下がり、口を閉じることが難しくなります。また、食事や発音時に舌の制御に問題が生じる場合もあります。
痛みや不快感
顔面神経麻痺には、顔や耳の周りに痛みや不快感が生じることがあります。この痛みは一時的なものであることもありますが、一部の人では持続することがあります。
音過敏や味覚の変化
顔面神経麻痺の影響で音に対する過敏さや味覚の変化が生じることがあります。一部の人では、音が不快に感じられることや食べ物の味が変わることが報告されています。
顔面神経麻痺の症状の程度や持続期間は個人によって異なる場合があります。症状が現れた場合は、早期に医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。
顔面神経麻痺の東洋医学的な考えについて
東洋医学(中医学や伝統中国医学)においては、顔面神経麻痺について以下のような考え方があります。
気の流れの不調和
東洋医学では、顔面神経麻痺は体内のエネルギーである「気(気血)」の流れの不調和によるものと捉えられます。気は体内をめぐるエネルギーであり、適切に流れることで身体のバランスが保たれますが、気の流れが滞ることで顔面神経の機能が低下し、麻痺が現れると考えられます。
寒湿や風邪の侵入
東洋医学では、顔面神経麻痺の発症には寒湿や風邪の侵入が関与しているとされます。寒湿は湿気が体内に滞り、風邪は外からの邪気が体内に入ることを指します。これらの外的な要因が顔面神経に影響を与え、麻痺が起こる可能性があります。
脾胃の弱さ
東洋医学では、脾胃の弱さも顔面神経麻痺の要因とされます。脾胃は消化・吸収を司り、体内の栄養を供給します。脾胃が弱くなると、体内のエネルギーの生成や分配が円滑に行われず、顔面神経の機能低下が起こる可能性があります。
東洋医学においては、これらの考え方に基づいて、顔面神経麻痺の治療を行います。
顔面神経麻痺の鍼灸治療について
顔面神経麻痺の鍼灸治療の効果については、科学的な研究や臨床試験が限られており、一概には言えません。しかしながら、一部の研究や臨床報告では、鍼灸が顔面神経麻痺の症状緩和に寄与する可能性が示唆されています。
鍼灸は、東洋医学の治療法であり、体内の気(気血)の流れを整えることを目的としています。顔面神経麻痺においては、気の流れが滞り、顔面神経の機能が低下していると考えられます。鍼灸は鍼や灸を用いて特定の経絡(ツボ)に刺激を与えることで、気の流れを調整し、神経機能の回復を促すことを目指します。
一部の研究では、鍼灸が顔面神経麻痺に対して有効な治療法であると報告されています。例えば、2017年のメタ分析では、鍼灸が顔面神経麻痺の回復に寄与する可能性があると結論づけられました。また、2019年の研究では、鍼灸治療が薬物療法と組み合わせることで、顔面神経麻痺の回復を促す効果があることが示されています。
当院の鍼灸治療では、顔周りのツボと全身的な自律神経のバランスも整える施術・東洋医学的な考えから五臓六腑のバランスをとる施術など総合的に鍼やお灸を使って施術を行います。