嗅覚障害の主な原因
嗅覚障害の原因はさまざまです。以下に一般的な原因をいくつか挙げますが、個別の症状や状況によって異なる場合もあります。
上気道感染症や副鼻腔炎
風邪やインフルエンザなどの上気道感染症や副鼻腔炎によって、鼻の粘膜が炎症を起こすことがあります。これにより嗅覚が一時的に低下したり失われたりすることがあります。新型コロナの後遺症で嗅覚障害が出た場合、これに相当すると考えられています。
けいれん性嗅覚喪失
一部の人では、けいれん性嗅覚喪失と呼ばれる症状が起こることがあります。これは、一時的な嗅覚喪失が短時間で再発する状態です。
頭部外傷
頭部外傷や鼻の手術などが原因で、嗅覚神経や嗅覚を制御する脳の領域にダメージが生じることがあります。
神経因性嗅覚障害
神経因性嗅覚障害は、直接的な嗅覚神経の損傷や障害によって引き起こされます。これは、頭部外傷や中枢神経系の疾患、薬物使用、放射線療法などが原因となることがあります。
化学物質や薬物の暴露
特定の化学物質や薬物に長期間曝露することで、嗅覚障害が引き起こされる場合があります。例えば、揮発性の有機化合物や鉛、錫、クロムなどの金属は、嗅覚に悪影響を及ぼすことがあります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎によって鼻づまりが起こり、臭いを感じづらくなる場合があります。
嗅覚障害の東洋医学的な考え
東洋医学(中医学や伝統中国医学)では、嗅覚障害は体内のエネルギーの流れやバランスの乱れに関連していると考えられています。以下に、東洋医学的な考え方として一般的に言われることをいくつか説明します。
氣(気)の乱れ
東洋医学では、体内を巡る気(エネルギー)の流れが重要であり、嗅覚障害は気の乱れによって起こる可能性があると考えられています。気の流れが滞ることで、鼻や嗅覚に関連する経絡や臓器への適切なエネルギー供給が妨げられることが原因とされます。
臓腑の異常
東洋医学では、嗅覚は肺と脾の機能に関連しています。肺は気の司令塔とされ、鼻や嗅覚の働きにも関与しています。脾は消化吸収や水分代謝を担当し、体内のエネルギーの生成・運送を補助します。嗅覚障害はこれらの臓腑の異常によって引き起こされる可能性があると考えられています。
経絡の調整
東洋医学では、経絡と呼ばれる気血津液の通り道の流れを調整することで、身体のバランスを整えるとされています。嗅覚障害の場合、鍼灸や指圧、漢方薬などの治療法を用いて、特に鼻や頭部の経絡を刺激して気の流れを調整し、嗅覚の回復を促すことが試みられることがあります。
なお、東洋医学的な考え方は西洋医学とは異なる視点や診断方法を持っています。そのため、東洋医学のアプローチは西洋医学の診断や治療と併用した方が効果が上がりやすいです。
嗅覚障害の鍼灸治療
嗅覚障害の鍼灸治療については、まだ研究や臨床データが限られており、確固たる結論は得られていません。しかし、一部の報告では、鍼灸が嗅覚障害の改善に役立つ可能性があるとされています。
鍼灸は、経絡(けいらく)と呼ばれる気血津液の流れを調整することで、身体のバランスを整えるとされています。嗅覚障害の鍼灸治療では、特に鼻や頭部の経絡を刺激することで、血液循環や神経の働きを促進し、嗅覚の回復を助けるとされています。鼻周りや頭部には嗅覚障害に特に効果があるとされる経穴がありますのでそれら経穴を積極的に用いていきます。
五臓六腑では『肺』や『脾』が嗅覚障害と関係のある経絡と考えられているためそれらの経穴を主に用いて施術を行っていきます。
また、自律神経の状態も整えて自律神経のバランスが正常に保たれることで身体が回復しやすい状態にもっていきます。